中学生男子が不登校になる理由はなに?

中学生というのは思春期真っ只中の多感な時期です。
男子女子にかかわらず、最も不登校になっている生徒の割合が多くなります。
中でも、中学生男子はゲームや漫画、スマホアプリに熱中してしまう生徒も多く、中学生の女子より不登校の人数が多いです。
この記事を読んでいる保護者の方は、息子がゲームばかりして……と悩んでいるかもしれませんが、ゲームばかりをするようになったのも他の要因があるかもしれません。
根本的な問題は何なのか、その後の対応をどうすればよいかを解説していますので、ぜひ参考にしてください。

中学生の不登校は全国で97,036人。中学生全体における不登校生徒の割合は2.76%と小・中・高の中で最も高い割合となります。

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中学生は最も不登校になる人が多い時期

中学生は、小学生や高校生と比べて、不登校になる人が最も多いです。
具体的に言えば、不登校生の人数は全国で97,036人、中学生全体で見たときの割合は2.8%になっています。小学生の人数が25,866人だと考慮すれば、一気に中学生になって不登校の人数が多くなることが分かります。
それでは、その内訳について以下に詳しく解説していきます。
以下を読めば、中学生男子が最も不登校の人数が多いことが理解できると思います。

中学生の不登校は男子の方が多い

中学生の不登校は、男女で比較したところ男子の方が多くなっています。
女子よりも男子の方が多い最も大きな理由としては、母親が対話できるかできないかということでしょう。
一般的な家庭では母親の方が家にいる時間が長く、子供と対話する時間が長いです。そのため子供の中での最も自分を理解してくれている人は母親になっていることが多いです。
しかし、不登校になった時に相談しやすいのは同性の相手です。中学生女子にとっては最も距離の近い母親が相談しやすい相手になりますが、中学生男子にとっては距離の近い母親に相談すればよいのか同性の父親に相談すればよいのか曖昧になります。
このギャップがあるために、中学生男子と母親が対話しづらく、中学生女子に比べて不登校の人数が増加していると考えられます。

中学校三年間では毎年増加傾向

また、中学校三年間で限定すると、不登校の人は年々増加していっています。
中学生は当然義務教育の範疇なので、留年や退学といった人はほとんどいません。母数の変化がない中で増加しているということは、学年が進むにつれて不登校の人数が増えているということになります。
しかし、中学一年生で不登校になった人が、学年が進んだのちに普通に通うようになることはかなり珍しいです。たとえ少しずつでも学校に通えていたとしても、年間30日以上欠席になった場合は不登校扱いになってしまいます。
どの学年でも同じ人数が不登校に転じると考えれば、年々人数が増加しているのは当然だと言えます。

高校生になると人数は減る

中学校三年間で増加していた不登校の人数も、高校になれば徐々に減少していきます。
これは高校生になると不登校の人は減っていく……というわけではなく、高校では留年や退学があるからです
高校は中学校までと違って義務教育ではないので、不登校になって出席日数が足りなくなってしまうと進級できません。そのため高校一年生から高校二年生になってがくっと人数が減ります。高校三年生で不登校になっている人は、ほとんどが長期的に休んでいる人ではなく、30日以上さぼってしまった人でしょう。

高校生になって心機一転する人も多い

しかし中学三年生と高校一年生の不登校の人数差を見るとあまり変化がありません。
高校一年生までは進級できるので本来であれば不登校の人数は増加するはずです。
これには、中学で不登校だった人の中の一定数が、高校からは頑張ろうと学校に通い始めることが挙げられます。
特に中学一年生から不登校だった人は高校からは通うという心構えの人も多く、そのため高校一年生の段階では人数の増加がありません。

中学生男子が不登校になる原因

それでは、中学生男子が不登校になる原因は何なのでしょうか?
おそらくゲームやアニメの影響を受けていると考える人は多いでしょうが、その理由はそれほど割合が高くありません。
というのも、不登校になる原因というのはいくつかの原因が絡み合っていることがほとんどです。例えば勉強についていけなくなったために友人と今まで通りに話すことができず軋轢が生まれてしまった、というような問題であれば「学業不振」と「友人関係」が絡んでいます。
このように普通は一つの原因で不登校になるケースというのは少ないので、ゲームやアニメが根本的な原因になっているということは非常に珍しいです。
普通は不登校の原因はいくつも絡んでいますが、わかりやすくするために主要な原因を一つずつ解説していきます。

最も多い原因は友人関係

中学生男子が不登校になる原因で最も多いのが友人関係です。
思春期は多感な時期なので、お互いに不平不満がたまることが多々あります。
複数回答での調査結果によると、40%を超える人が不登校になった原因は友人関係だと回答しています。
しかし、この数字は中学生女子が60%以上だと考えると、かなり少ない数値だという事が分かります。女子は男子に比べて直接的な表現を避けることが多く、いじめが起こっても陰湿化しやすいことも理由の一つでしょう。男子の方が直接話し合ってぶつかることも多く、友人関係の不和は起こりづらいのです。
しかし、最近はネットやSNSが普及してきて、ネット上でのいじめ問題も発展しています。そちらからの影響を受ける可能性は男子も高くなっているでしょう。

二番目に多い原因は生活リズムの乱れ

中学生男子が不登校になる原因で次に多いのが生活リズムの乱れです。
こちらは男女での差はあまりなく、どちらも35%程度を示しています。
中学生にもなってくると、母親が徐々に仕事復帰していく家庭が多いです。起こす人がいなくなったことで朝起きれなくなった人や、スマホなどの使用で生活リズムが崩れる中学生は意外といます。
生活リズムの乱れは、学校に行くのが面倒になってしまう原因です。特に仲がいい人に会いたいといった目的がなければ、徐々に不登校になっても仕方ありません。
あた、当然ですが友人関係や学業不振が原因で生活リズムが乱れるといったことも考えられます。

三番目に多い原因は学業不振

中学生男子が不登校になる原因で、三番目に多いのは学業不振です。
中学校にもなると、勉強の難易度が一気に跳ね上がります。試験などによって成績の良し悪しが可視化されてくるのもこの時期です。今までできると思っていたのにそうではなかったということや、勉強ができないことをバカにされたということが原因で、不登校になってしまうケースはあります。
この場合、学校に行かないことで勉強がさらにできなくなるという悪循環に陥ることもありますので、非常に注意が必要です。
また、勉強ができないことを親から責められて勉強をするのが嫌になるというケースもあります。子供が自分から勉強をするようにしなければあまり意味はないです。

女子よりも多い原因はスマホやゲームへの影響

割合としてそれほど多くありませんが、女子と比べて高い割合になっているものは、スマホやゲームからの影響です。
女子が15%くらいの割合なのに対して、男子は20%を超えています。
中学生にもなると精神的な成長が早い女子と男子の間での差が生まれます。また、女子は群れる人が多いのに対して男子は一人で遊ぶ人の割合も多いです。
ゲームに熱中しやすい環境と条件が整っているので、それが原因で不登校になってしまうケースは男子の方が多いです。
しかし、これも他の原因と絡んでいるケースが多いです。例えば友達に嫌われてゲームしかやることがなくなった、逆にゲームが要因で生活リズムが乱れたなどの要因に繋がります。
そのため、ゲームを辞めさせれば不登校じゃなくなると考えずに、その奥にある原因を追究することが大切です。

支えになるのはいったい誰?

子供が不登校になった時に、子供にとって相談できる相手で男女ともに割合が多いのは母親です。前述した通り、父親に比べて家にいることが多く、精神的支柱になっていることはかなり多いでしょう。
しかし、母親に相談するという割合は、女子が60%程度なのに対し、男子は30%とほぼ半分です。そして代わりに中学生男子の回答で多いのは、「誰にも相談しない」です。
母親は一緒にいることが多い分、子供を注意することも多くなります。それを素直に受け止めきれないのが思春期の子供で、どうせ相談しても注意されるといったことを考えます。
そのため、中学生女子に比べて相談しないという選択が増えてしまうのです。

不登校になった時にしたい対応

一人でふさぎ込んでしまいがちな中学生男子への対応は、正直悩んでいる人も多いでしょう。行けと言ったら反発されて、もう何も手出しができない……そんな人もいるのではないでしょうか?
中学生男子が不登校になってしまった時にするべきは、「無理に○○しない」です。
基本的に不登校になっている中学生は他人から指示されることを嫌います。強くいったところで逆効果になることが多いので、自発的に行動させることが一番です。
中でも、特にするべきことは以下の三つです。

  • 無理に学校に行かせない
  • 無理に原因を聞きださない
  • 無理に勉強をさせない

本当にそれでいいのかと疑いたくなった気持ちもわかります。
もちろんその子供によって少し対応を変える必要はあるかもしれませんが、基本はこの意識で対応することが大切です。これをすることで、子供の自発的な行動を生み出せるでしょう。

無理に学校に行かせない

最も重要なことは「無理に学校に行かせない」ことです。
学校に行かなくなる子供は、学校に行きたくないと思う原因があります。
完全にゲームが原因で朝起きれないといったケースもあると思いますが、普通は学校で友達と話したいと思うはずです。学校で話をしないからゲームにハマり、その分生活リズムも狂う……というようなサイクルがほとんどの場合はあるはずです。
そのため、学校に無理やり行かせたところで、不登校という目先の問題は解決しますが、不登校になった根本的な理由は何も解決しません。
また精神的に疲弊しているという可能性もあります。時間が解決してくれる問題なので、じっくり見守りましょう。
心配な人は、生活リズムだけでも整えさせておくと心が回復したときに学校に通うという選択肢が取りやすくなります。

無理に原因を聞き出さない

次に重要なことは、「無理に原因を聞きださない」ことです。
根本的な原因を突き止めないと意味はないと前述しましたし、なぜ子供が不登校になってしまったのか聞きたいという方も多いでしょう。
しかし中学生男子は一人で抱え込むことも多く、おせっかいを焼いてくる母親とは話したくないと考えている人も多いです。条件反射で無視してしまう子供から、すぐ喧嘩腰になってしまう子供もいると思いますが、思春期の子供はそんなものだと割り切るのが一番です。
また原因を聞き出そうとしている行為を学校に行けと言われていると曲解してしまうこともあります。そうなってしまっては親子関係の悪化で、不登校になる期間が長引いてしまいますので、無理に原因は聞かないようにしましょう。
どうしても本人から聞きたいときは必要最低限の情報だけ、それ以上を聞きたいならば学校の先生に連絡して学校での様子を尋ねるとよいでしょう。

無理に勉強もさせない

最後に重要なことは「無理に勉強させない」ことです。
学校に行かなくなった原因はさまざまでしょうが、不登校になることで勉強に遅れが生じるのは間違いありません。そのため勉強だけはさせておかないといけないと考える方も多いでしょうが、無理やり勉強をさせてもあまり意味ありません。
不登校になるのは、精神的・身体的に疲弊している証拠です。心も体も健康な人は、学校を休もうとは考えません。
そのため、学校を休み始めたときは何もさせないのが一番いいと言われています。
何もやることがない不登校生活を送っていると、自然となにかしなければと考えるようになるからです。そのような考えに至れば心が回復している証拠なので、徐々に問題集を勧めるとよいでしょう。

高校進学するなら通信制高校がおすすめ

中学生の子供が不登校になった場合、その先の進路も心配になっている方も多いと思います。特に高校に進学できるのかは不安でしょう。
しかし、高校進学率は全体で98.2%とほとんどの学生が高校進学しており、その中には当然不登校の生徒も含まれます。
そして、その不登校の子供が進学する先のほとんどが通信制高校です。
授業がオンラインで行われる通信制高校は不登校の人が通いやすい仕組みになっていて、不登校だった人が多く通っています。

  • 元不登校の生徒が多い
  • 友人関係や生活リズムに悩まなくていい
  • 自分の目的でコースを選べる

以上の三点が大きな理由です。一つずつ、詳しく解説します。

元不登校の生徒が多い

通信制高校には、中学の時や全日制高校に通っていて不登校になった人が数多く通っています。
これは学校に通う頻度が少なくて他人と接する機会が少ないことや、朝起きなくていいことが要因です。
しかし、それ以上に通信制高校は不登校の子供に対してのケアが手厚い学校が多いです。
例えば生徒一人一人に定期的に教師が面談する機会を設けている学校や、専門のカウンセラーが常駐している学校もあります。
そのため不登校が再発することも少ないですし、授業に遅れることもありません。
また、頻度は少ないとはいえ学校に行くことはありますので、不登校だった人同士で新たな友情が芽生えることもあるでしょう。

友人関係や生活リズムに悩まなくていい

通信制高校は、友人関係や生活リズムの乱れといった、不登校の原因になるようなことを気にする必要がありません。
学校に毎日通う中学校では、友人関係が悪化しても毎日顔を合わせなければなりませんが、通信制高校の通学頻度は大体週3回~月1回の範囲です。たとえ友人関係が悪化しても、学校に通えなくなることはあまりないでしょう。
また、授業はオンラインの録画なので、自分で受けたい時間に授業を進めていきます。朝に弱い人でも時間さえ取れば授業は受けられるので、生活リズムが心配な人でも問題ありません。
不登校の時に気にしていたことを気にしなくてよい環境なので、学校には通いたいけど不安という子供に非常におすすめです。

自分の目的でコースを選べる

通信制高校は、大学進学コースから就職に強い専門コースまで幅広く取り扱っています。
そのため、自分が高校卒業後に何をしたいかによって、通う学校を決められるのが良い点です。
不登校になった時に子供が一番考えることは、「このままじゃダメだ」という考えだと思います。その時に、なんでこのままじゃダメなのかを考えさせることが大切です。
ただ学校に行かないのはまずいというだけでなく、どうして学校に行くのか考えさせることができれば、おのずと不登校から回復するうえ、どんな将来を歩みたいか目標も定まってくると思います。
通信制高校はほとんどがオンラインでの授業のため、日本全国どこからでも入学できる学校が多いですので、通いたい専門コースがある人が通いやすいです。

中学生男子はゲームやアニメの影響を受けやすい

中学生男子が不登校になる原因は様々ですが、女子よりもゲームやアニメの影響を受けやすいという違いはあります。
また、一番の理解者である母親と話したくないと考えてしまうこともあって、不登校になってから長期化しやすいという可能性もはらんでいます。
子供が不登校になってしまった場合は、無理に学校に通わせようとするのではなく、根本的な問題を解決しなければ意味はありません。自発的に行動させることを心がけてください。